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10月7日号 稲刈り後半戦、ヒノヒカリはラスト。

 「この土日からいよいよ後半の稲刈りを始めるよ・・・見に来られる?」
もちろん!」
じつはここ数年間、この時期になると田圃に行くことができる週末に限って雨に見舞われ、稲刈り風景を見ることができないでいた。今年こそとは思いながらも、秋雨前線と台風の動きを天気予報でみるたびに、「今年も見られないかな・・・」なんて思っていた矢先の松下くんからの電話だった。

 週末から後半稲刈りをする品種は、中生品種「ヒノヒカリ」と、酒米の晩生品種「山田錦」だ。この連休中に山田錦を収穫し、その後に、いよいよアンコメ米作りプロジェクト米主力品種ヒノヒカリを収穫するというスケジュールだ。
  普通ならば、中生のヒノヒカリが先で、晩生の山田錦が後というのが一般的なスケジュールなのだが、今年は一工夫して山田錦を先、ヒノヒカリが後となる。
それにはこんな理由がある。昨年平成18年は9月以降の高温と収穫期の雨のために、後に植えた山田錦に、ごくわずかながら胴割れが発生した。ところが、ほぼ同じ条件のヒノヒカリには全く影響がなく、それどころか品質、食味とも素晴らしかったのだ。そこで松下くんはこう思った。
「山田はもたないけど、ヒノは引っぱれる・・・」
山田錦は見た目どおり、やや繊細なところがあって、針の穴を通すような正確なコントロールが必要だけど、ヒノヒカリはいい意味で鈍感。ちょっとやそっとでは動じない余裕のようなものがある。要するに、ダイナミックレンジが広いというわけだ。
そこで今年は、その性格を生かして山田錦を先に植え、収穫時期のコントロールが容易なように余裕もたせ、いっぽうヒノヒカリは後に植え、収穫時期をなるべく後ろになるように設定した。大胆というか、やや非常識な作戦を試みたのである。
  じつは今回、それが大成功だった。山田錦の品質は昨年とは見違えるくらいの理想的なコンディションで収穫ができたのである。

 さて、その山田錦はこの秋から日本酒としての歩みを始めるので、次に小生の目に触れる頃にはお酒に変身しているはずであるから、すべては蔵元にお任せするとして、問題は当店が販売することになるアンコメ米作りプロジェクト主力品種のヒノヒカリの方である。
  じつは今はまだ田圃にある。その姿を一目見るために山田錦の収穫作業を見た後に、ヒノヒカリの田圃に行った。そして息を呑んだ
満々としている・・・」
許容範囲いっぱいまで満ち溢れているような、そんなイメージの姿がそこにあった。「6月24日号豊年エビを求めて」に、ご登場したMさんも今回も同行していたのだが、その彼女もその風景に圧倒されポツリと言った。
「綺麗・・・輝いていますね」
松下くんが稲刈り時期になると、よくこんなことを言うのを思い出した。
「この田圃の稲を刈ると黄金が搾り出せるようだろう・・・」
いや本当にそう思えるくらいに、西に傾きかけた太陽に照らされているその姿には、黄金が満ちている感じがしてくるのだ。
ちょうど今、11月に予定している講座のために、資料を整理している最中なのだが、その中でニッポン人と稲との関係について様々に思いを馳せる時、一つのキーワードが思いついたのだ。
錬金術
  ニッポン人にとって稲作とは、一種の錬金術なのではないかと・・・。一粒が何百何千倍にも価値が増幅し、それによって生み出されることになる莫大な余剰。多くの人を養い、国を生み、文化を育み、歴史を作っている原動力。それはまさに金を生み出すこと、錬金術ではないかと。
瞼に浮かぶ満々としているヒノヒカリを思うとき、そんなことを夢想したのだ。

 そんな満々の「ヒノヒカリ」は10月中旬過ぎに、アンコメの店頭に並ぶ予定です。もう少しだけ待っていてください。

 


命のスープが育てた黄金の原を感慨深げに見入るMさん。
命のスープが育てた黄金の原を感慨深げに見入るMさん。
2007年01月28日 [ 4925hit ]
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