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水田徘徊、新潟

 

 

7月13日と14日の2日間、新潟へ行った。
今回はクルマのひとり旅、初日は燕三条、2日目は上越、妙高を訪ねた。

1日目
人気の定番米、新潟しろくまコシヒカリの新潟しろくま会特別栽培米研究会の田んぼを周った。
まずは燕市の相田さんの田んぼから。
株間をたっぷり開けて栽培するのが特徴の相田さんの水田。
10年以上のお付き合いの中ではトップクラスの出来映えだった27年産、
今年の稲の姿もすこぶる良好。田んぼの隅々まで神経が入り、ブレのない美しい姿だった。
28年産も大いに期待できそうだ。

次に訪ねたのは三条市下田(しただ)地区、ご年配の生産者チームの田んぼ。
化学肥料や農薬のない頃の技術の話しを伺う。
昔は牛馬の糞と畦草(雑草)、糠で作った堆肥で栽培したそう、
水抜けの早い川岸の水田、苦労話しの向こうに良質良食味栽培のヒントが見え隠れしていた。
気温23度、今のところ順調に生育中。出穂は8月第一週あたりの予感。

2日目
北陸自動車道を日本海沿いに西へ、上杉の居城、春日山城で有名な上越市を訪ねた。
午前中は中山間地の牧区へ入る。
標高で2~300mだろうか、大月の棚田と地域の人が呼ぶエリアを見て歩く。

水は天水だよりで不安定、
生産性では平場(平野部)には叶わない
収量も頑張っても7俵台(反収)・・・。

生産者はつい中山間地ならではネガティブなことを口にするのだが、
この土地の魅力を信じているからこそ、ここで仕事をしているに違いない。
事実、平場で心配せねばならない高温障害はここではあまり考える必要がないし、
僕からすれば7俵台で仕上げた新潟コシヒカリなど超魅力と感じるほど、
ポジティブに捉えられることもたっぷりあるのだ。

ここに作り手とのちょっとしたギャップがある。
じつはどの産地を訪ねてもそのギャップを少なからずいつも感じる。
そのギャップをできるだけ埋めるために訪ね歩き対話するのだ。
今回も少ない時間ながらじっくり見聞きし、ほんの少しだけだが提案をしてみた。

午後は隣町の妙高市へ移動した。
松下さんの著作「ロジカルな田んぼ」を読んだ読書の方(生産者)と旅に出る直前に縁ができ、訪ねることになった。
仕事気分が抜け、はっぴいえんどの「風街ろまん」をBGMにクルマを走らせた。
7曲目の「夏なんです」がかかる頃、ちょうどその歌詞に出てくるような情景の中へ入りこんだ。
訪ねたYさんのお宅は谷津田の奥まった先にあった。

初対面とは思えぬ感じ。
「ロジカルの田んぼ」に共感してくれた方はいつもそんな感じがする。
自分の著作でもないのに、いつもうれしく感じる瞬間だ。

Yさんは農家の次男坊で後を継いだ。
全部で8町歩、親父さんと共に谷津田を耕している。
思うところあってロジカル本を手にしたそうだ。

田んぼを見て歩き、現状の問題点や今後の構想を聞く。
僕も調子に乗って松下の話をしや見聞きしてきたことをしゃべりまくった。(笑)
ああ~またやってしまった・・・と思いつつも楽しく充実した時間を過ごした。
気付けば夕方5時過ぎ、日があるうちに帰途についた。
お土産にいただいたお父上自慢の十全なすの浅漬けはそろそろ食べ頃。
旅を振り返りながらいただこう。

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画像上:相田さんの田んぼ。尺植えだから稲は扇のように葉を広げる。
画像中:大月の棚田の用水はすべて天水。今年は水には苦労しないで済みそうとのこと。
画像下:Yさんの田んぼへ行く途中の景色。風街ろまんがぴったりだった。

 

2016年07月15日 [ 3388hit ]
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