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アートロ「土がぼくらにくれたもの」2014

 

 

静岡市内にある弥生時代の遺跡、登呂遺跡で行ってるワークショップアートロ「土がぼくらにくれたもの」
美術家で土を素材とした作品を手掛ける作家、本原令子さんの発案で始まり、

アンコメ店主長坂潔曉も講師として参加しているこのプロジェクトは、
2012年の夏から準備を始め、2013年、2014年とワークショップを実施、先日11月16日、2年目を無事終えた。

 

このワークショップのコンセプトは「もう一度なぜを問い直す」。
複雑で多様な現代社会、そもそもどうしてこうなの?なぜこうなったの?
という素朴な疑問を、2000年前の弥生の頃まで戻り、手を動かし、頭で考えしながら
文字通り「問い直す」という作業を参加者と共に行ってきた。

 

田んぼの土で土器をつくり、
田んぼの土で稲を育て、
その稲藁と籾殻で土器を焼き
出来上がった土器で収穫した米を煮炊きし食す。

 

人が生きるために必要な最低限のもの。
そのほとんどは土がくれたもの。弥生時代はそれらは今よりもっとリアルだったはず。
その中にあっても、少しでも楽で、少しでも効率良く、少しでも美味しく、少しでも美しいことを人々は望んだ。
その先に現代がある。僕らとちっとも変らない。むしろ2000年前の彼らのほうが貪欲だったかもしれない。
それがだんだん解ってきた。

 

3年は続けようと始めたこのプロジェクト、
来年はいよいよその3年目となる。
これまで蓄積してきた?(はてな)と!(がってん)の集大成。
「田んぼですべてが成立する!」という、アートロらしい、とても美しい仮説を実験する年となる。
2015年は4月から始まり11月までの全7回(8月はお休み)
弥生への時間旅行はまだ続く。

 

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画像上:
10月19日アートロ5は収穫。今年アートロで栽培した田んぼはわずか41.25平方メートル。肥料も農薬も入れず、田んぼを平らにしてから、22種類の異なる稲品種を植えただけ。言葉は悪いが2回ほど草取りをしただけで何もしていない、ほぼ放任農法。田んぼの地力と降り注ぐ太陽エネルギーをもとに稲自身が合成したのがこの状態。その数量、概算で4〜5キログラム(玄米)反収換算すると109キログラム。俵換算すると1.8俵となった。現在の平均反収が8.5俵であるからだいたい五分の一というわけだ。収穫された4〜5キロをお茶碗換算すると約50杯となる。さて、あなたの何日分のご飯かな?ということに気づくワークショップを行った。


画像中:
7月6日アートロ3は土器作り。登呂遺跡から発掘された台付甕型土器を製作。葉っぱを回転台とし手びねりで作っていく。このタイプの土器の出土品のほとんどが台が取れている。その致命的欠陥の理由も作ってみたら理解できた。また蓋(らしきもの)も出土してないことから蓋なしで煮炊きしていたと推察。また釜戸のない時代、どこでも煮炊きできるモバイル性はなかなかよくデザインされてることに気付く。


画像下:
9月21日アートロ4は土器野焼き。土器を稲藁と籾殻でくるみながらドーム状の釜を作り、上部に田んぼの泥で覆いをするように蓋をする。稲藁と籾殻が燃える火力はじっくりと土器を焼き締める。夕方になってもその火は消えることがなかった。画像では薪を使用しているが、木を大切に使った痕跡から、薪や柴をむやみやたらと燃やしていたとは思えず、来年は稲藁と籾殻だけで土器を焼こうと考えている。

 

 

アートロ関連サイト:

アートロ「土が僕らにくれたもの」の活動情報はコチラ(登呂会議)
https://www.facebook.com/torokaigi?fref=ts

本原令子さんウェブサイト(ブログ)
http://motoharareico.com/blog/

 

アートロ動画:

第1回「土は地球からのギフト」

https://www.youtube.com/watch?v=n_iMzlVpKjc

第2回「土で稲を育てる」

https://www.youtube.com/watch?v=ixIm9sziVbE

 

 

 

 

2014年11月20日 [ 4249hit ]
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