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小諸アグリカルチャーミーティング
小諸アグリカルチャーミーティング

 

9月24日(土)小諸市で行われる、
小諸アグリカルチャーミーティングでお話しすることになりました。
お話のタイトルは、

「田んぼからお茶碗まで」再編中。

藤枝の有機栽培米生産家、松下明弘さんと共にやってきたこの15年について
松下さんと二人で振り返りながら、少し先の未来の話もできればと思っています。

まあ、我々のことですから、
気付いたらぜんぜん違う話になってしまうかも・・・ですが、
この企画のテーマ「新しい農業をはじめよう」にとって、
ほんのひとかけらでも、お役に立てればうれしく思います。

小諸でお会いしましょう。


<イベント詳細>
日時:平成28年9月24日(土) 14時~17時(開場13時30分)
場所:安藤百福センター カンファレンスルーム(小諸市大久保1100番)
内容:基調講演、トークセッション、懇親会

http://www.komoron.com/wp-content/uploads/2016/09/forweb_160912.pdf

2016年09月16日 [ 5206hit ]
壁画現る。
壁画現る。

 

 

毎年、新米入荷前のこの時期になると、米の低温倉庫に現れるものがある。

壁画。

かつて娘たちが小学生だった頃、見学に来る度に、同級生らとイタズラして描いたものだ。
目を離した隙に描かれた続けた絵は数年分、天井まで描かれている。
その全貌を見られるのは、在庫がなくなる今の時期だけ。
9月になれば産地から届くお米が天井いっぱいまで積み上がり見えなくなるのだ。

蒸し暑い外気をよそに、14℃の庫内で観賞できるのは、
28年産新米が本格的に入荷する今週来週くらいまで。

2016年08月30日 [ 3214hit ]
水田徘徊、新潟
水田徘徊、新潟

 

 

7月13日と14日の2日間、新潟へ行った。
今回はクルマのひとり旅、初日は燕三条、2日目は上越、妙高を訪ねた。

1日目
人気の定番米、新潟しろくまコシヒカリの新潟しろくま会特別栽培米研究会の田んぼを周った。
まずは燕市の相田さんの田んぼから。
株間をたっぷり開けて栽培するのが特徴の相田さんの水田。
10年以上のお付き合いの中ではトップクラスの出来映えだった27年産、
今年の稲の姿もすこぶる良好。田んぼの隅々まで神経が入り、ブレのない美しい姿だった。
28年産も大いに期待できそうだ。

次に訪ねたのは三条市下田(しただ)地区、ご年配の生産者チームの田んぼ。
化学肥料や農薬のない頃の技術の話しを伺う。
昔は牛馬の糞と畦草(雑草)、糠で作った堆肥で栽培したそう、
水抜けの早い川岸の水田、苦労話しの向こうに良質良食味栽培のヒントが見え隠れしていた。
気温23度、今のところ順調に生育中。出穂は8月第一週あたりの予感。

2日目
北陸自動車道を日本海沿いに西へ、上杉の居城、春日山城で有名な上越市を訪ねた。
午前中は中山間地の牧区へ入る。
標高で2~300mだろうか、大月の棚田と地域の人が呼ぶエリアを見て歩く。

水は天水だよりで不安定、
生産性では平場(平野部)には叶わない
収量も頑張っても7俵台(反収)・・・。

生産者はつい中山間地ならではネガティブなことを口にするのだが、
この土地の魅力を信じているからこそ、ここで仕事をしているに違いない。
事実、平場で心配せねばならない高温障害はここではあまり考える必要がないし、
僕からすれば7俵台で仕上げた新潟コシヒカリなど超魅力と感じるほど、
ポジティブに捉えられることもたっぷりあるのだ。

ここに作り手とのちょっとしたギャップがある。
じつはどの産地を訪ねてもそのギャップを少なからずいつも感じる。
そのギャップをできるだけ埋めるために訪ね歩き対話するのだ。
今回も少ない時間ながらじっくり見聞きし、ほんの少しだけだが提案をしてみた。

午後は隣町の妙高市へ移動した。
松下さんの著作「ロジカルな田んぼ」を読んだ読書の方(生産者)と旅に出る直前に縁ができ、訪ねることになった。
仕事気分が抜け、はっぴいえんどの「風街ろまん」をBGMにクルマを走らせた。
7曲目の「夏なんです」がかかる頃、ちょうどその歌詞に出てくるような情景の中へ入りこんだ。
訪ねたYさんのお宅は谷津田の奥まった先にあった。

初対面とは思えぬ感じ。
「ロジカルの田んぼ」に共感してくれた方はいつもそんな感じがする。
自分の著作でもないのに、いつもうれしく感じる瞬間だ。

Yさんは農家の次男坊で後を継いだ。
全部で8町歩、親父さんと共に谷津田を耕している。
思うところあってロジカル本を手にしたそうだ。

田んぼを見て歩き、現状の問題点や今後の構想を聞く。
僕も調子に乗って松下の話をしや見聞きしてきたことをしゃべりまくった。(笑)
ああ~またやってしまった・・・と思いつつも楽しく充実した時間を過ごした。
気付けば夕方5時過ぎ、日があるうちに帰途についた。
お土産にいただいたお父上自慢の十全なすの浅漬けはそろそろ食べ頃。
旅を振り返りながらいただこう。

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画像上:相田さんの田んぼ。尺植えだから稲は扇のように葉を広げる。
画像中:大月の棚田の用水はすべて天水。今年は水には苦労しないで済みそうとのこと。
画像下:Yさんの田んぼへ行く途中の景色。風街ろまんがぴったりだった。

 

2016年07月15日 [ 3395hit ]
台付甕型アルミ器
台付甕型アルミ器
 
 約2000年前の弥生時代の登呂(静岡市駿河区)で煮炊きに使われたいた台付甕型土器をアルミ鍋製造メーカー「中尾アルミ製作所」さんらの協力を得て、同社が長年培ってきたアルミ素材と、しぼり技術を用いて作っていただいた。台付甕型アルミ器。文字は「土」が「アルミ」に変わっただけだが、実際はそれだけではなかった。
 
なんでわざわざそんなことを・・・
 
 かくいう自分もちょっぴりそんな思いはあったのだが、この3年余り登呂遺跡で行ってきたアートロにおける台付甕型土器での煮炊き経験がその酔狂とも思えるモノづくりのきっかけとなった。
 
 遺跡から出土している台付甕型土器のほとんどは本体と台を繋ぐ部分から破断していた。この土器を作ってみるとわかるのだが、最初にコップ状の台となる部分を作り、次にその天地をひっくり返した上に本体を作っていく。これが破断するそもそもの理由と考えられる。台として上部を充分に支えることができるくらいに硬化した台部分に、まだ柔らかい粘土を手びねり積んでいく。この時の接合部の硬化時期の差が、使っていくうちに破断してしまう原因と考えられる。土で作るがゆえの問題がここにある。ある時期を境に使われなくなったこの土器が、廃れていった理由のひとつにこれがあると想像している。
 ところがこの土器、どんな場所でも置いたところが即、煮炊き場となるモバイル性能は素晴らしい。季節ごと?時として飯場を移動するような住まい方をするには具合がいいのだ。割れた土器を桜の皮で継いで修理している出土品もあることから、日頃から割れぬよう大切に扱っていたに違いない。それでもこの煮炊き用の土器が構造的理由で破断してしまう宿命は逃れられない。
 これを金属で作ることができたなら台付甕型土器の構造的問題をすべて解決しこの宿命から開放される。台付甕型土器という希有な形状の煮炊き道具が進化してたなら・・・。そんな思いをもとに2000年の時を超えて現代鍋釜技術で作ることになった。進化という言葉がふさわしいかどうかはわかなぬが、実験的に作られた「台付甕型アルミ器」は、まさしく台付甕型土器の進化系にほかならない。
 もし、タイムトリップして2000年前の登呂村にこの台付甕型アルミ器を持って行ったら村人たちはどんな反応するだろうか?煮炊きの歴史が変わってしまうかもしれない?そんな空想と平行して、煮炊き実験を繰り返し、実力を探っていこうと思う。
 
 
制作にご協力いただいた、中尾アルミ製作所の田崎さん、一厨の鈴木さん、ありがとうございました。
煮炊き実験に協力いただいた、ユーカリのくらたの倉田さん、ありがとうございました。
 
関連ページ
米屋のいい訳「1500年」
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画像上:
釜戸がまだニッポン列島に渡来する前、東海~関東地方で煮炊き道具として使われていた台付甕型土器、現代人からすると蓋を持たないことが希有に見えるが、置いた場所で煮炊きができるこの構造は、遊牧民のような旅する人の道具のよう。寝床を決め、その周辺から柴刈をして集めた燃料で煮炊きをする。どんな食材もグツグツ煮れば消化しやすく、やさしい風味の食事ができる。このポテンシャル、現代においては災害時には頼もしいのではないかと思えてならない。
 
 
画像中:
金属ならではの熱伝導の良さで、木が燃える800℃の熱であっという間に沸騰に至る。ちなみに出土する煮炊き用の土器には、なぜか砂が混ぜられていた。当初はその理由は分からなかったが、実験を重ねるうちに、砂の入った土器のほうが沸騰到達時間が早いことに気づいた。つまり2000年前の人たちは知っていたのだ、煮炊きにはこのほうが熱伝導が良いことを。
 
 
画像下:
今回は玄米(静岡磐田太田農場産コシヒカリ玄米+うるち赤米)を煮炊きした。まだ一度きりの実験ではっきりとしたことは言えないが、あきらかに熱ムラがなかった。羽釜で玄米を炊くのと同じようなフローで約一時間弱、かなりの熱量で加熱したが焦げることなく、ふっくらとした食感は現代人の食事感覚でもまったく問題のない美味しさだった。ちなみに平行して台付甕型土器でも玄米(静岡磐田太田農場産コシヒカリ玄米+もち黒米)を煮炊きした。もちろんこちらも美味しかった。しかしこびり付いた米粒洗いがひと苦労なのは素焼き土器の悩みのタネ(笑)
 
2016年07月11日 [ 4495hit ]
トウモロコシごはん。
トウモロコシごはん。

 

毎年6月はトウモロコシの季節である。
地元の生産者から届くのは「甘々娘」などの人気品種。
アンコメでも販売する菊川の大喜農園さんのそれは、とても人気がある。

朝採りのトウモロコシを5分間茹でてそのまま食べる。
何よりこれが一番の食べ方に違いない。
けれど、お米に炊き合わせるのも悪くない。
ちなみに僕はお米といっしょに炊く派だが、友人の中には炊いたごはんに茹でたてを混ぜる派もいた。
いづれにしても、お米とトウモロコシ、(もちろん麦も)世界三大穀物は相性良いのだ。

巨大胚芽米カミアカリ(玄米)とも炊きあわせてみた。
そもそも炊いたカミアカリはトウモロコシのような香りがある希有な米、
炊き上がったそれは、予想以上にトウモロコシの香りに満ちていた。
ひとくち大の塩むすびしたら、お釜が空になるまでエンドレスだった。

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画像上:巨大胚芽米カミアカリ(玄米)と
画像下:硬めに炊いた山形大石田つや姫(白米)と

2016年06月25日 [ 3195hit ]
ARTORO2016
ARTORO2016

 

今年も登呂遺跡でアートロが始まっている。
昨年まで講師という立場で準備期間を含め3年半関わってきたこの活動、
今年度から市民活動として再出発をした。
講師や参加者の区別のないフラットな関係で参加者それぞれが研究ができる場。
始めた頃にイメージした「ラボ」になっていければいいと思っている。

弥生時代の遺跡、登呂。
約2000年前にあった弥生時代に戻って今を考えてみると、
高度に細分化分業化した現代社会のはじまりはこの時期ではなかろうか?
そんな思いにかられ、暮らしのあらゆることの始まりを皮膚感覚でもって問い直す。
僕はそんな研究をのんびりしていくつもりです。
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画像上:苗を育てから移植するという今ではふつうの技術。そもそもそれが何のためかを知ってる人は案外少ない。
画像中:整備中の復元水田を眺めながら考える。肥料というアイデアがなかった時代、休耕し野草によって地力を回復させていた可能性が高い。弥生時代の水田の景色とは本当にこんなだったかも・・・。
画像下:紐がなければ、辺りの草で綯えばいい。すべての素材は足元にある!

ARTORO FBページ 

2016年06月15日 [ 3252hit ]
ルーシー・リーの作品に見とれる。
ルーシー・リーの作品に見とれる。

 

歩きで30分のところに美術館がある。静岡市立美術館。
駅前の商業施設の入ったビルの1フロワーすべてが美術館になっている。
休みの日、気が向いてふらっと見に行くにはちょうどいい大きさ。
今回も良い企画展をやっていたので出掛けた。

ルーシー・リー展

没後20年となるイギリスの陶芸家。
巡回展として静岡にもやってきた。
過去にも何度か観ていたが、最初期から晩年までの代表作を一堂に観たのはこれが初めて。

よかった。
強烈に刺激を受けた。
どれもこれも素晴らしいの一言に尽きるのであるが、
晩年の作品「白釉青線文鉢」に一目惚れした。
言葉にならず、ただただ見とれてしまいました。

静岡では5月29日まで。
行ったほうがいいと思います。
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久々に一曲
Brahms Intermezzo no:2 in A major Op. 118

2016年05月24日 [ 3255hit ]
SUNPO Vol.4
SUNPO Vol.4

 

5月15日(日)
紺屋町ウエストサイドマーケット SUNPO Vol.4 
アンコメも参加します!

静岡市のダウンタウン、紺屋町の近隣ショップが集まって開催するSUNPO。
お散歩気分でお出かけ、三歩で廻れるエリア(実際はもう少し広いと・・・笑)で楽しもうというコンセプトで
昨年5月にスタートした本企画も今回で4回目を迎えることができました。
初夏のいちばん心地よい季節、日差しをいっぱい浴びながら、スペシャルな一日をお楽しみください。

今回アンコメは「土鍋ごはん炊きワークショップ」で参加します!
30分で誰でも絶品スイハニング(ごはん炊き)が体験できますよ。
体験料1000円(1組)

開催日時:5月15日(日)10:00~17:00(※小雨でも開催します)

<参加ショップ>
● hug coffee紺屋町店&SUNPO出店ブース ・・・ スペシャルティコーヒー専門のオープンなコーヒースタンド
● BISTRO THE FARM(RENEWAL) ・・・ 素材にこだわり、わいわいとテーブルを囲む野菜ビストロ
● CREA TABLE ・・・ オリーブオイルソムリエのいるオリーブオイル専門店
● 箸舗 桜さくや ・・・ 自分の手に合った使い易いお箸が選べるお箸の専門店
● ぷるみえ~る紺屋町店 ・・・ 上質で自然な素材にこだわり、手間をおしまないお菓子づくり
● アンコメ安東米店 ・・・ 五つ星お米マイスターが栽培から関わるお米の専門店(ゲスト参加)
● やさし菜農園Tanizaki ・・・ 富士宮市のオーガニック野菜農家です(ゲスト参加)
● ブランジュリ メルシー ・・・ 無添加の素材を集め、愛情を込めた手作りパンの店(ゲスト参加)
● こうのもの(株)季咲亭 ・・・ 静岡野菜+和の旨味=和ピクルスです(ゲスト参加)
● スタンダードe ・・・ しっとりふわふわ、無添加シフォンケーキ(ゲスト参加)
● TAKUMI ・・・ ライフスタイルに溶け込む観葉植物やエアプランツたち(ゲスト参加)
● The Natural Shoe Repair ・・・ お気に入りの一足をより長く履き続けるためのお手伝い
● DJブース<Manbow/Kouta> ・・・ 町並みとシンクロする心地いいサウンドをお届けします

2016年05月07日 [ 3458hit ]
ワークショップ「能×農 拍子が生まれる時」
ワークショップ「能×農 拍子が生まれる時」


来る4月16日(土)能楽師大倉流小鼓方、飯冨孔明(いいとみよしあき)さんと
アンコメ店主(長坂)がこんな実験的なワークショップを行います。


          能×農 拍子が生まれる時
~暮らしの中にあった拍子をみつける~


そもそも能とは何だろう?
能やお囃子のはじまりはいつから?何かはじまりだったのだろう?
能の中にある拍子から、その源流にある農の営みを身体を動かしながら考えていくワークショップです。
ご興味ある方はふるってご参加ください。

日時:2016年4月16日(土)13:30~15:00
場所:d-labo 静岡 静岡市葵区呉服町2-1-5 五風来館3階(ANNEX ISETAN 3階)
お問い合わせ、参加申込:http://www.d-laboweb.jp/event/16041603.html

 

2016年04月07日 [ 3690hit ]
焚き火×ごはん炊き
焚き火×ごはん炊き

 

3月26日ごはん炊きのワークショップのため三浦半島油壺にある胴網海岸へ行った。葉山周辺、二子山山系で森林環境保全や環境発掘活動をしている「森もり倶楽部(室伏氏)」主催のこの企画、テーマは「Light米Fire ~ここから始まる新しい1万年~」やや難解なテーマではありますが、僕はこんな風に理解した。
 
この列島での約2000年間(本格的な農耕の始まりから化石燃料に頼るようになった現代社会まで)で失ってきたもの、疎かにしてきたことを見つめ直し、それ以前(縄文時代の1万年間)にあった平和で安定していたとされる人の暮らしのエッセンスを用いながら、これから先の1万年の人の暮らしの在り方を身近な里山を通じて考えてみる。その暮らしの鍵となるのが火、それも木が燃えることで生まれる「光と熱」ではないかと森もり倶楽部の室伏氏は考えたのでないかと感じた。そこで、火のある生活を実践している焚き火の達人、寒川氏と羽釜炊飯大好きアンコメ店主が招集されたわけです。
 
焚き火の達人、寒川氏のホームグランドでもあるSTEP CAMP BASEのある胴網海岸でのワークショップ、まずは、ごはん炊きの前に燃料となる柴刈から。辺りを15分間柴刈するだけで、ホームセンターで買う薪に換算して3000円分くらい、今回炊く2釜分に必要な燃料のじつに10倍ほどの量が、あっという間に集まった。
 
次に水加減。今回は浸しておいたお米の重さを計り、その80%の重さの水をグラム単位で計量。それらを羽釜に入れ、じっくりその景色を見る。お米と水、いつも炊飯器の水線頼りの水加減が、こういう作業でおなじみのあの比率が網膜に焼き付くから不思議だ。
 
下準備ができたところで、柴刈した中から細かい枝葉を集め、それに焚き火から火種をもらい点火。「はじめチョロチョロ中パッパ」の作法で徐々に火力をあげていく。白米(松下×安米きぬむすめ)1.5升、玄米(静岡藤枝松下カミアカリ)1.5升、二つの羽釜はそれぞれ点火から8分ほどで沸騰した。
 
この後、火力を落として沸騰維持。「ブツブツいう頃火を引いて」釜の中の水がなくなり釜肌にご飯は触れるとこんな音が聞こえてくる。それと香ばしい香り・・・そのタイミングで置き火にする。この日の外気温は10℃前後、しかも微風のため、釜が冷めることも考慮していつもより置き火を多めにしてみた。ここから15分間は蒸らし時間、「赤子泣いても蓋取るな」である。
 
じつは、この一連の作業は、すべて参加者自身にやってもらった。僕は手を動かず、助言だけ。それでも大ハズレしないのは、木が燃える柔らかい熱量とそれを受け止める金属羽釜コンビのおかげ。木が燃える炎の温度は約800℃、その温度を受け止める金属羽釜との相性は抜群。このコンビで江戸時代中期に完成したこの炊飯技術を「炊き干し法」という。水加減、火加減で調理するだけのこの技術が育まれたのは、水と森が豊かなこの島国だからこそだと考える。こうやって実際にやってみるとそれがよく分かるのだ。
 
蒸らしが終え蓋を開ける時は、お約束のように大きな歓声が上がる。90℃近い温度差のある外気温に触れたご飯はみるみるうちに光輝き、目指す質感である外硬内軟、つまり外がツルっとコートされ、内はふんわり食感のご飯が完成した。遅れて20分後、もうひとつの羽釜で炊いていた巨大胚芽米カミアカリ(玄米)も炊き上がりました。
 
いよいよ実食、テーブルに並んだ二つの羽釜、「にこまる(白米)」と「カミアカリ(玄米)」囲み、歓談しながらと会食と思いきや、皆さん黙々と食べることだけに夢中です。「飯をおかずに飯を喰う」などとおっしゃる方もいるほど、想像していた以上の旨さにみなさん大満足の様子でした。こうしてワークショップは満腹になったところで終了。無事にミッションが果たせました。
 
閉会後はスタッフみんなで焚き火タイム。拾い集めた木々で暖を取りながらいただく日本酒の旨いことったら・・・星空を眺めながら尽きる事のない会話が延々と続き、一夜にして焚き火ファンになった週末でした。

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参加された皆さま、森もり倶楽部の室伏さん、STEP CAMP BASEの寒川さん、関係者の皆さま、おつかれさまでした&ありがとうございました。

2016年03月28日 [ 4278hit ]
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